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浮島湿原

 滝上町と上川町を結ぶ国道273号線の浮島峠、昔は冬季間通行止めになる国道だったが、昭和59年に全長3,332mの浮島トンネルが開通し通年通行が可能となった。
 トンネルの滝之上側出口には、工事に合わせて浮樹浮木ランドと言うキャンプ場が作られたが、現在は閉鎖されてしまい廃墟となりつつある。
 トンネル開通前に使われていた曲がりくねった細い砂利道の旧道は現在も通行可能で、トンネルの両側を結んでいる。
 浮島湿原への入り口は、この旧道の上川町側から2.5km程入ったところにあり、駐車場や循環式の水洗トイレ、東屋なども整備されている。
 旧道の滝上町側からも湿原へ続く道があるみたいだが、付近に適当な駐車スペースも無く、湿原までの高低差もかなりあるので、そのルートから湿原に向かうのは余程の物好きな人間だろう。
 かく言う私も物好きな人間なものだから、2回目に浮島湿原を訪れた時はそのルートを通ってみようと考えたものの、人の歩いた気配も殆ど無いような道を一目見てあっさりと諦めてしまった。
 地形図を見ると、浮島トンネルは浮島湿原の真下を貫通しているので、こんなところにトンネルが通ったら湿原の水が抜けてしまうのでは?なんて冗談で考えてしまうが、トンネルの標高は700m、湿原の標高は865mくらいなので、それを聞くとやっと安心することができる。

 駐車場から湿原までは樹木のチップが敷き詰められた遊歩道が1600m程続いている。
 このように見た目は整備された環境なので、公園の中を散歩するような感覚で湿原を見に行ってしまいそうだが、周辺は熊の生息域である。実際に旧道を走っている時に熊の糞も目撃しているし、中へ入る時は熊除けの鈴などを装備したい。
 周囲には根曲がり竹(ネマガリダケ)も多く、タケノコ採りのシーズンは地元の人たちも結構ここを歩いているようだ。突然、横の藪の中からゴソゴソと音が聞こえてきてビックリさせられるが、そこから出てくるのは熊ではなくてタケノコをどっさりと抱えたおばさんだったりする。
 周りの森にはトドマツや白樺の巨木がそびえ、深山の趣だ。その巨木が幹の途中でポキリと折れていたり、根返りして倒れていたりするのは、2004年の台風18号の被害がここにまで及んでいるのだろう。
 遊歩道はやや上り坂になっているものの、チップのクッションが足に優しく、道端に咲く野草などを楽しみながら歩いていると、20分ほどで湿原入り口に到着する。

浮島湿原トイレ 浮島湿原四阿 浮島湿原遊歩道
浮島湿原駐車場とトイレ 浮島湿原入り口の四阿 浮島湿原までの遊歩道は木のチップが敷かれている
浮島湿原遊歩道 ゴゼンタチバナ 浮島湿原入り口
トドマツの巨木の間を通る遊歩道

遊歩道沿いに咲くゴゼンタチバナ

湿原入り口に到着、小川の中にミズバショウの葉が伸びていた

 浮島湿原は周囲3km、面積約22ヘクタールの高層湿原で、大小70あまりの池塘が存在する。池塘とは湿原の点在する小さな池のことで、窪地の周囲にミズゴケなどの泥炭層が堆積して水がたまってできるそうだ。
 普通の感覚で見ると、周りから植物が進入してきてやがて草に埋もれて消えてしまいそうな感じだが、湿原の池は池内部より周囲のほうが泥炭層が早く堆積するので、逆に年々深くなっていくそうである。
 主な池塘にはその場所によって東大沼、北大沼などの名前が付けられている。
 木道がそれらの沼を巡るように続いているが、設置後かなり年数を経ている木道なので所々踏み板が腐っており、歩く時には注意が必要である。
 湿原で見られる主な植物はチングルマ、ツルコケモモ、タチギボウシ、モウセンゴケ、トキソウ、エゾヒツジグサなど、遊歩道入り口の看板に写真入で紹介されているので、あらかじめそれを見て名前を覚えておけば、より興味を持って湿原を楽しむことができる。
 ワタスゲなど一種類の花が湿原全体を覆うような派手な景観は無いものの、歩いていると常に何かの花が目に入る。小さな沼も多いので、歩いていると次々と風景が変わり飽きることが無い。
 周りは湿原生アカエゾマツ林に囲まれ、その一部が湿原を途中で分断して、二つの空間に区切られるような形になっている。
 森の中の遊歩道を歩いて来て最初に出会うのが、そのうちの狭い方の空間である。狭いといってもその奥行きは300mくらいはあるだろうか。
 印象としては「小ぢんまりとした湿原」といった感じだ。
 そこに入って直ぐに出迎えてくれるのが東ノ沼である。その他にも東大沼や、名も無い小さな沼が沢山点在して、箱庭のような美しさだ。
 そんな風景に見とれながら木道を歩いて行くと、その先が藪の中へと続いている。藪といっても、それは赤い花を咲かせるムラサキツツジやアカミノイヌツゲが茂った藪なので、思わず立ち止まってカメラを向けてしまう。
 そしてその藪を抜けると、一気に視界が広がる。ここでようやく浮島湿原の本当の大きさを知ることになるのだ。
 回遊式の日本庭園の技法を取り入れたような、憎いばかりの自然の演出である。
 そのまま1周600m程の木道が続いていて、その北の端から滝之上側へ降りる山道へと繋がっている。
 また、途中からは湿原の南端へ向かって1本の木道が延びているが、分岐部から終端までは約400m、同じ道を戻ってくることになるのがちょっと残念な気がする。

2006年6月24日の浮島湿原の風景
浮島湿原案内図 浮島湿原東ノ沼付近 浮島湿原風景
浮島湿原案内図 湿原に入って直ぐの東ノ沼付近 この付近ではこぢんまりとした湿原に見える
浮島湿原風景 浮島湿原風景 浮島湿原風景
ムラサキツツジなどが咲く美しい藪 藪を抜けると広々とした湿原の風景が広がる 沼の中を木道が伸びる
浮島湿原風景 浮島湿原風景 浮島?
チングルマやミツバオウレンの白い花が目立っている 青空が広がっていれば沼に写る風景ももっと美しかったはず これが浮島だろうか?
チングルマ モウセンゴケ ツルコケモモ
チングルマが沢山咲いていた 東ノ沼付近にはモウセンゴケも多い ツルコケモモはまだ蕾

 訪れる時期によって湿原を彩る花の種類も変わってくる。
 我が家が最初に訪れたのは6月下旬頃、チングルマやミツバオウレンが可憐な花を咲かせていた。
 その後7月中頃に訪れるとチングルマに変わって風変わりな花が沢山咲いている。「これが花なのだろうか?」と思いながら良く見てみると、それはチングルマの花が終わって実を付けた姿らしい。
 その他にもトキソウやサワランが新たに赤い花を咲かせ、ワタスゲが風に吹かれて揺れている。前回訪れた時は、アカエゾマツや空の姿を映し込んでいるだけだった沼の水面には、エゾヒツジグサが新たに葉を広げ、美しい白い花を水面に浮かべていた。
 青い色をしたエゾイトトンボがせわしなくその周りを飛び回り、命が溢れるような初夏の湿原の風景が広がる。
 タチギボウシがつぼみを大きく膨らませて、湿原の次の主役になるべく準備を整えていた。
 次期を変えて何度でも訪れたくなる場所である。

 ところで浮島湿原と名前が付いているくらいなのだから、この沢山の池塘の中の何処かに浮島が浮かんでいるのだろう。
 池塘の真ん中にポツンとあるのが浮島のように見えるが、それが本物の浮島かどうか確認するためには風が吹いてくるまで待つしかない。普通は、風に押されて岸辺にくっついている状態のほうが多いと言う話である。
 もしもそれらしい島を見つけたら、周りの風景を眺めながらそれが動き出すまでのんびりと待っているのも、優雅な時間の過ごし方かもしれない。

 国道273号のこの区間は観光ルートから外れているので、わざわざこの湿原まで足を伸ばす観光客も少ない。
 そのために、駐車場からのアプローチが簡単な割りにはひっそりとした環境が保たれており、落ち着いて湿原の中を見て回れる。
 他の有名な湿原と比べると面積こそ小さいものの、この程度の広さのほうが見て回るのにちょうど良いし、魅力も凝縮されているような気がする。
 国道333号で旭川からサロマ湖方面へ向かう途中、ちょっと遠回りになっても寄り道する価値のあるスポットである。

2006年7月21日の浮島湿原の風景
チングルマの花後 浮島湿原の風景 浮島湿原の風景
チングルマの花はこのような姿に変わっていた 沼ではヒツジグサが葉を伸ばしている 湿原の植物も背丈が伸びている
浮島湿原の風景 浮島湿原の風景 浮島湿原の風景
池塘の連なる美しい湿原風景 湿原の風景を眺めながら一休み 湿原一番奥の南沼付近からの眺め
エゾヒツジグサ 浮島湿原の風景 トキソウ
エゾヒツジグサの花とエゾイトトンボ 湿原の主役ワタスゲも風になびいていた 可愛らしいトキソウの姿
ホソバノキソチドリ タチギボウシ 浮島湿原をこれから彩る花たち
目立たない花のホソバノキソチドリ タチギボウシも花を咲かせはじめていた 蕾のままの花も沢山、次は何が咲くのだろう?

見聞録関連ページ 2006年キャンプ日記(6月24日) ・2006年キャンプ日記(7月21日)
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