訪れる時期によって湿原を彩る花の種類も変わってくる。
我が家が最初に訪れたのは6月下旬頃、チングルマやミツバオウレンが可憐な花を咲かせていた。
その後7月中頃に訪れるとチングルマに変わって風変わりな花が沢山咲いている。「これが花なのだろうか?」と思いながら良く見てみると、それはチングルマの花が終わって実を付けた姿らしい。
その他にもトキソウやサワランが新たに赤い花を咲かせ、ワタスゲが風に吹かれて揺れている。前回訪れた時は、アカエゾマツや空の姿を映し込んでいるだけだった沼の水面には、エゾヒツジグサが新たに葉を広げ、美しい白い花を水面に浮かべていた。
青い色をしたエゾイトトンボがせわしなくその周りを飛び回り、命が溢れるような初夏の湿原の風景が広がる。
タチギボウシがつぼみを大きく膨らませて、湿原の次の主役になるべく準備を整えていた。
次期を変えて何度でも訪れたくなる場所である。
ところで浮島湿原と名前が付いているくらいなのだから、この沢山の池塘の中の何処かに浮島が浮かんでいるのだろう。
池塘の真ん中にポツンとあるのが浮島のように見えるが、それが本物の浮島かどうか確認するためには風が吹いてくるまで待つしかない。普通は、風に押されて岸辺にくっついている状態のほうが多いと言う話である。
もしもそれらしい島を見つけたら、周りの風景を眺めながらそれが動き出すまでのんびりと待っているのも、優雅な時間の過ごし方かもしれない。
国道273号のこの区間は観光ルートから外れているので、わざわざこの湿原まで足を伸ばす観光客も少ない。
そのために、駐車場からのアプローチが簡単な割りにはひっそりとした環境が保たれており、落ち着いて湿原の中を見て回れる。
他の有名な湿原と比べると面積こそ小さいものの、この程度の広さのほうが見て回るのにちょうど良いし、魅力も凝縮されているような気がする。
国道333号で旭川からサロマ湖方面へ向かう途中、ちょっと遠回りになっても寄り道する価値のあるスポットである。 |