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豊似湖

 日高山脈の南端近く、山々に囲まれた中にひっそりと佇む周囲1kmの小さな湖が豊似湖である。広大な日高山脈の中で唯一の自然湖と言うのも信じられない。
 黄金道路沿いのえりも町目黒から山の中へと入る。国道沿いに「豊似湖まで9.2km」と書かれた小さな看板が立てられているが、小さすぎて注意していないと見逃してしまいそうだ。
 目黒の集落を過ぎると道はすぐに幅の狭いダートになる。途中で林道の分かれ道もあるが、豊似湖まであと何kmの看板が要所要所にあるので迷うことは無いだろう。
 道路沿いには猿留川が流れていて、豊似湖へ向かう途中でこの川を渡ることになる。そこに架かる橋は欄干も壊れかけていて、渡るのも怖くなるような橋である。
 橋の上から猿留川を見下ろすと、川底の石がくっきりと見えるくらいに水も澄んでいて、溜息が出るくらいに美しい。
 その付近は川原も広くそこへ下りられる道もあるので、夏の暑い日にはここで水遊びをするのも楽しそうだ。
 最後の2km程の道程は簡易舗装されているものの、幅の狭さに変わりは無く、運悪く対向車がやってきたらすれ違うのに冷や汗をかきそうだ。
 この豊似湖は、氷河が運んできた岩盤等が谷を埋めてそこに水がたまってできたそうである。
 どうりで、湖に近づくに従って周囲の風景が岩石がゴロゴロと積み重なるような荒々しいものに変わってきている。
 道路の終点は砂利敷きの駐車場になっていて、汲み取りだが一応トイレも設置されている。
 豊似湖まではそこから約200m、岩が積み重なるガレ場の中を登っていく。
 周りの岩は全て分厚い苔に覆われ、まさに緑一色の世界だ。
 私達が訪れた5月中頃にはエゾオオサクラソウが群落を作って咲いていて、苔色の風景の中でそのピンクの花がとても鮮やかに目立っていた。
 途中にはシナノキの巨木も聳えていて、原生の世界に入り込んだような気がする
 豊似湖は、そこから流れ出す川と言うものがない。途中で水のたまっている窪地の方へ降りていくと、何処からかチョロチョロと水の流れる音が聞こえていた。
 積み重なった岩のすき間から、こうして湖の水が流れ出しているのだろう。

猿留川 猿留川の橋 豊似湖への道
美しい猿留川の流れ 猿留川に架かる壊れそうな橋 駐車場から豊似湖への道
エゾオオサクラソウ シナノキの巨木 コケとシダの世界
苔むした岩の間に咲くエゾオオサクラソウ

途中にはシナノキの巨木もある

苔色の世界に羊歯が育つ


  坂を上りきると、そこからは豊似湖をほぼ一望できる。
 豊似湖は上空から見るとハートの形をしているそうだ。そこに立つ看板は実際の豊似湖の姿を模しているのだろう。
 ただ、そこから見える豊似湖の様子からだけでは、ハートの形を連想するのはちょっと難しい。
 地元では昔から、この湖が馬の蹄の形に似ているので馬蹄湖とも呼ばれていたらしい。どちらかと言うと、ハートよりも馬の蹄の方が正確な表現だと思う。
 湖はその周りを30分ほどで一周できるので、ここまで来たからには是非一周したいところだ。
 観音岳への登山道もあり、その途中にある沼見峠からは豊似湖の姿も一望出来るらしい。湖一周と沼見峠までの往復を含めて1時間半程度だそうである。
 湖の対岸まで右側(西側)のルートは湖畔沿いを歩くのだけれど、かなり足場が悪い。私達が訪れた時は湖の水位も少し上がっていたようなので、これが下がればもう少し歩きやすくなるのかもしれない。
 左側(東側)からのルートは岩場があったり尾根を越えたりと変化があるが、丸太階段が付けられていたりして歩きやすくなっている。

豊似湖 豊似湖 豊似湖
坂を登るといよいよ豊似湖が現れる ここから見てもハートの形には絶対に見えない 岩がむき出しの湖岸部分もある
豊似湖 豊似湖 豊似湖
湖の西側はこのような湖畔を歩く 歩くのにかなり厳しい場所もある 同じ種類の木が並んでいるのはヤチダモだろうか?
岩場の道 エゾオオサクラソウ 豊似湖
東側の道にはこんな岩場もある この岩場にも咲いているエゾオオサクラソウ 東側は比較的歩きやすい
豊似湖 豊似湖 岩場に咲くフッキソウ
やや高い場所から湖を見下ろすと湖面が深緑色に染まって見える 新緑の時期が美しい 岩場にはフッキソウも咲いていた


  湖の対岸は、他が全て急な崖のような地形なのに、この付近だけがなだらかになっている。川が流れ込んでいるような跡もあったので、雪解け時期に限って現れるような川なのかも知れない。
 湖の中に水没している立ち木があるところを見ると、通常の水位はもう少し低いのだろう。
 また、湖岸には水没していたような部分も見受けられるので、雪解け直後にはかなり水位が上がっていそうだ。
 雪解け水が流れなくなっても、この付近からは湧き水が流れ出しているらしい。澄んだ水の中にはサンショウウオの卵が浮かんでいた。
 私は直接見なかったけれど、ここにはニホンザリガニも沢山生息しているとの話である。
 周りの木々は新緑に染まり、林床では一面のフッキソウが花を咲かせている。その中には朽ち果てた倒木が横たわり、人間の手の入らない原生のままの自然の営みがそこで続けられている。
 豊似湖周辺の岩場ではナキウサギも生息している。
 「チチッ」と言う小さな鳴き声が聞こえたら、それは多分ナキウサギの声である。その姿は滅多に見られないけれど、周りの岩場を注意して見てみよう。運が良ければ、可愛らしいその姿に出会えるかもしれない。
 ナキウサギは氷河時代からの生き残りと言われているが、この豊似湖が氷河が運んできた岩石によって作られたことを考えれば、ここに流れる悠久の時間を感じることが出来る。

 新緑の風景も素晴らしかったけれど、次回は是非紅葉の季節にも訪れてみたいものだ。出来ればその時には沼見峠まで登って、そこからの展望も楽しみたい。
 今回は帰りの林道でエゾシカの群れとも出会うことが出来た。最近の北海道では人里まで平気でエゾシカが現れるようになってきたけれど、この様な場所で警戒心の強いエゾシカに遇えると嬉しくなってしまう。
 シカ以外にも、日高のこの付近ではヒグマも生息しているので、そのことを頭に入れたうえで行動するようにしたい。熊除けの鈴くらいは装備しておいた方が良いだろう。

豊似湖 豊似湖 豊似湖の森
水中から生える樹木 湖の奥のこの付近は何とも神秘的な美しさだ 川の流れたような跡もある
豊似湖の森 豊似湖 豊似湖
自然の営みが繰り返される原生の森 湖畔の風景が美しい 湖の奥からの風景

見聞録関連ページ 2007年キャンプ日記
周辺のキャンプ場 広尾キャンプ場 ・百人浜オートキャンプ場
参考サイト 道有林内の見どころマップ 
周辺地図 マピオン地図

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