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十勝三股

 国道273号を糠平から三国峠へ向けて森の中を縫うように走って行くと、突然回りの樹木が無くなり開けた土地が現れる。
 以前にこの場所を通ったときは、「変わった土地だなー」と思いながらも立ち止まりもせずに通り過ぎてしまった。
 ここがかつて林業の町として栄え、旧国鉄士幌線終点の十勝三股の駅があった場所であることを知ったのは最近になってからだ。
 昭和14年に士幌線が十勝三股まで延長され、昭和39年の町が一番賑わっていた頃には221戸、1162人が住み、出稼ぎの人間も含めると2000人以上がここで暮らしていたという。
 これが、国道の開通によって製材所が上士幌町に移転したりして、昭和48年には原木の出荷が無くなり、急激に人工も減っていったようである。
 この頃私は、清水町から帯広の高校まで汽車通学をしていたが帯広駅の向かいのホームからは十勝三股行きの汽車が出ていたのを良く覚えている。
 利用者の減少から、昭和53年には上士幌・十勝三股間が代行バスの運行になり、既にこの時は十勝三股に住んでいる家も数軒程度だったとの話しである。
 道内でも、人口が減ってかなり寂れた様子に変わってしまった町は沢山あるが、ここ十勝三股のように、町が完全に消滅してしまったような場所は珍しいかもしれない。

 私がこの土地を訪れてみようと考えたのは、かっての住民が植えたであろうルピナスが自然に繁殖して、お花畑のようになっているという話しを知ったからである。
 人為的に植えられた公園内のルピナス畑もよく見かけるけれど、ルピナスの花色の豊富さが禍して、どぎつい風景になってしまう。
 ルピナスは丈夫な宿根草でこぼれ種からも増えていくが、こうして野生化したルピナスは何故かブルー系統の花が多くなってくる。そんなルピナスが群生する様子は、なかなか素晴らしいものだ。
 ルピナスの花の時期は6月中旬から7月上旬にかけてである。その時期に合わせて、十勝三股を訪れてみた。
 糠平を過ぎて十勝三股に近づいてくると、まるで雑草のように道ばたでもルピナスが花を咲かせているのが目に付き始める。そんな風景を楽しみながら道路を走っていくと、突然視界が広がり、淡いブルーに彩られた一面のルピナスの群落が目に飛び込んでくる。
 道路沿いには三股山荘というログハウスの喫茶&レストランがある。「脱サラした物好きな人間が、こんな場所でレストランを開いたんだろうな〜」と思っていたら、これも後になって知ったのだが、以前からの十勝三股の住人なのだそうだ。
 士幌線が無くなった時の代行バスの運転手をやっていた方という話しである。十勝三股のことをもっと知りたければ、この店で話しを聞いてみると良いだろう。
 店の裏の方に、木製の遊歩道と四阿が建っているが、ここが以前の十勝三股駅の跡である。鉄道ファンも多く訪れる土地のようだが、こんな施設を作るよりも昔の駅舎とホーム、それに線路の一部くらいでも残しておけば、素晴らしい場所になったのにと思うととても残念である。
 最近感じるのだが、北海道の人間は古いものを残しておこうという意識がとても乏しい気がする。新しい物好きで、過去にはこだわらないという気質は、それはそれで良いのだけれど、自分たちが歩んできた歴史を余裕を持って振り返れるだけの心のゆとりが欲しいものだ。
 一応この木製遊歩道付近のルピナスが綺麗に咲いているが、その他至る所でルピナスが群生を作っている。
 そんな花畑の間の道を車で入っていくことができるが、何となく気が引けてしまった。良く考えてみると、その道路は昔の集落の間を通っていた道なのだろう。できれば車で走り回るよりも、昔の活気のあった頃の街並みを想像しながら花畑の散策を楽しみたいところだ。
 昔は生活排水が流れ込んでいたであろう水路は、バイカモが川底で揺らめき、美しい流れとなっている。
 広々とした場所は学校の跡地だろうか。
 目をつぶると子供達の喚声が聞こえてくるような気がする。
 まだ雪の残る東大雪の山並み、一面のルピナスの花、そんな美しい風景の中に昔の人間達の営みの跡がそこかしこに残っている。十勝三股は本当に不思議な空間である。
 糠平湖周辺の旧士幌線跡のアーチ橋群、糠平温泉、幌加温泉、秘湯の岩間温泉も近く、北海道内の隠れた観光スポットと言える場所だろう。
 

十勝三股 十勝三股 十勝三股
ルピナスの群落 廃屋を彩るルピナス 十勝三股の風景
十勝三股 十勝三股 十勝三股
道ばたに咲くルピナス

水路の跡もルピナスに埋め尽くされている

湿地のような場所にはキショウブも花を咲かせていた
十勝三股 十勝三股 十勝三股
グランド跡地のような場所にはコウリンタンポポの群落が 残雪の残る東大雪の山並みとルピナスのコントラストが美しい 至る所にルピナスが花を咲かせている

見聞録関連ページ 2004年キャンプ日記
周辺のキャンプ場 国設ぬかびらキャンプ場
参考サイト 鉄道と鉄道旅行のページ士幌線記録
周辺地図 マピオン地図

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