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ポロト自然休養林遊歩道(巨木の道)

 ポロト湖の周辺に広がる面積396haのポロト自然休養林の中には遊歩道や自転車道が張りめぐらされている。
 ポロト湖の南東、アイヌ民族博物館付近の入り口から入ると、一番奥のもみじ平まで約6kmと歩き甲斐のある道程だが、通常はポロト湖の奥にあるビジターセンターまで車で入って、そこを起点に自分の体力・時間に合わせて好きなルートを歩くことになるだろう。
 私が歩いたのはビジターセンターからポロト湖の手前までと、キャンプ場から望岳台を経てもみじ平までのルート。
 4月の中旬ではまだ木々も芽吹き始める前で、寒々とした風景が広がっているだけであったが、この時期の方が森の中の見通しも効くので、一本一本の木々の特徴ある姿を楽しめるし、野鳥観察にも向いている。  

遊歩道マップ

 まずはビジターセンターからポロト湖へと向かう。この部分は自転車道となっているので、舗装されていて歩きやすい。
 ホロホロ山系の伏流水を源とするウツナイ川が、蛇行しながら直ぐ側を流れている。
 春先ならば周りの草も伸びていないので、直ぐ川縁まで近づくことが出来る。
 澄んだ水の流れはとても美しい。水深が浅いので、その中に入って遊びたくなるが、湧き水を集めて流れているような川なので、夏場でも水はとても冷たい。
 裸足で川に入ると、冷たさで直ぐに足が痺れてくるだろう。
 私達が歩いたとき、その流れの中でちょうど水芭蕉が咲いているところだった。
 それほど大きな群落にはなっていないけれど、ポロト湖周囲の所々でその姿を見ることが出来る。ひょうきんな姿の谷地坊主など、付近一帯で湿原の風景も楽しめる。
 その湿原を上空で大きくまたいでいるのが道央自動車道で、近くに来ると車の走行音がちょっと耳障りだ。
 ここには植物観察用の浮橋が湿原を横断するように架けられていて、その上から湿原の様子を眺められるので、人気スポットにもなっている。
 ポロトの森には湿原や小川に湖とあらゆる環境が揃っているので、そこを住処とする数多くの野鳥の姿を確認できる。
 探鳥会らしきグループも多く、ちょうど私達がここを歩いている時、双眼鏡を覗き込む一団が遊歩道を塞いでいて、邪魔くさいのでその脇を通り過ぎて前に出たところ、直ぐ目の前の木にアカゲラがとまっているのが目に入った。
 あっと思って歩みを止めたけれど、私達に驚いたアカゲラはそのまま飛び立って行ってしまった。
 一斉に非難の視線が背中に浴びせられるのを感じながら、そそくさとその場を立ち去るしかなかった。

 ポロト湖へ近づいてくると、森の中で一際大きく枝を伸ばす樹木が目立つようになってきた。もっと近くで見たいけれど、林床がミヤコザサに覆われているので、容易には近づけない。
 そんな思いで歩いていると、遊歩道の土留め代わりになっているような巨木が出迎えてくれた。
 二人がかりで両手を広げても回りきれないようなクリの木である。
 ここからポロト湖沿いに歩いていけばミズナラやカツラの巨木にも出会えるのだが、この日は時間が無くて断念。
 案内図を見ると「巨大な切り株」と言うものもあるらしく、次回には是非見てみたいものである。

ムラサキツツジなどが咲く美しい藪 舗装されているので歩きやすい 土に返りつつある枯木
遊歩道沿いをウツナイ川が流れる 透明度の高い水である ミズバショウの群落も
森の中にクリの巨木が見える 遊歩道沿いにもクリの巨木 圧倒される大きさだ

 翌日はキャンプ場から望岳台への山道ルートを歩いてみた。
 こちらは森の木々を楽しみながらの歩きとなる。
 所々に樹名板が付けられているけれど、落葉期に樹木の木肌だけを見て樹種の判別をするのは難しい。もっとも私の場合、葉が出たからと言って、それで判別できるようになる訳でもないのだが。
 木々の様子を見ていると、つる植物にからみ付かれているものが多いのが分かる。
 キャンプ場周辺ではつる切り作業が行われた形跡もあったけれど、山の中に入ると殆ど手付かずの状態である。
 太いツルに巻き付かれた木々は、断末魔の悲鳴を上げているようにも見えてしまう。
 静かな森の中では、このような木々の戦いが延々と繰り広げられているのである。
 望岳台まで登る途中、葉を落とした木々の向こうにホロホロ山の真っ白な姿が見え隠れしている。
 葉が展開してしまうと、その姿は殆ど見えなくなってしまうだろう
 そして、尾根の上まで登りきると、その向こうに山頂の溶岩ドームが特徴的な樽前山の姿が見えてくる。
 望岳台には東屋や野外卓もあるので一休みできる。
 そこからもみじ平までしばらく尾根筋を歩くことになるのだが、この部分が私にとって歩いていて一番楽しく感じるところだった。
 次から次へと、巨木が現れるのである。
 百年以上の年月を経ている巨木は、それぞれの生きてきた歴史を現すように、それぞれ特徴的な姿をしているので見ていても飽きることが無い。

キャンプ場からしばらくは急な登りが続く 巨大なコブのできた木 葉の落ちた季節には樹木の形がそのまま見えるので面白い
遊歩道沿いには時々巨木が現れる 望岳台からの樽前山の眺め 周りは木に囲まれているので、展望は良くない
望岳台から先は巨木が次々に現れる 巨木の間をすり抜けながら歩く 歩くのが楽しい
樹皮を見ただけでは種類が分からない 捻れた巨木 思わず童心に返ってしまう
途中のベンチで一休み 巨木を見るとどうしても触りたくなる 空を覆うように枝を伸ばす巨木

  高圧線の鉄塔を過ぎると、遊歩道はトドマツなどの人工林の中を一気に下って自転車道へと合流する。
 ちょうどその付近にウツナイ川の源流があり、そこへと降りる丸太階段も整備されている。
 ボコボコと砂を巻き上げながら水が湧いてくる様子を想像していたけれど、実際は地味に水が染み出しているだけである。
 このようは湧き水が何本も集まってウツナイ川の流れを作り出しているのだろう。
 そこから少し歩けば、終点のもみじ平に到着。
 笹を刈り取って作った広場には、野外卓やトイレも整備されている。
 どうせならば紅葉の季節に訪れたいところである。
 帰りは自転車道を通るか、砂利道の林道を通るかはお好み次第。
 私達は林道を歩いたけれど、ウツナイ川を見下ろせるポイントも多く、景観的にはこちらをお勧めしたい。

 歩くのが面倒だと言う方は、インフォメーションセンターで自転車を借りられるので、それでのポロト湖一周が楽しいだろう。
 次に訪れるときは新緑か紅葉の時期、そしてポロト湖からもみじ平まで一気に歩いてみたいところである。

ちょっと拍子抜けするウツナイ川源流 もみじ平には新緑や紅葉の時期に訪れたい 林道も気持ちよく歩ける

見聞録関連ページ 2009年キャンプ日記(4月18日) ・2001年キャンプ日記(4月21日)
周辺のキャンプ場 ポロトの森キャンプ場
参考サイト 北海道人:森と湿原 ・北海道森林管理局胆振東部森林管理署
周辺地図 マピオン地図

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